ヤマハグレード試験の基本情報
ヤマハエレクトーンのグレード試験は、エレクトーン演奏能力を証明するための重要な資格試験です。音楽の技術的な向上を目指し、目標を持って学び続けることができる点が魅力です。この記事では、ヤマハグレード試験の基本情報を詳しく解説します。
ヤマハグレードとは何か
ヤマハグレードとは、昭和42年に発足されたヤマハ音楽教室が提供する演奏の技術を評価するためのヤマハ音楽能力検定制度です。エレクトーンだけでなく、ピアノ・管楽器・クラシックギター・ドラムもあります。演奏に必要な技術と音楽性を身につけるためのステップとして、グレード試験は初心者から指導レベルの上級者まで多くの学習者に利用されています。
グレードごとに必要な技術レベルが設定されており、各レベルで求められる技術や表現力が段階的に進んでいきます。合格することで、次のレベルに進むことができます。
試験内容とレベル
ヤマハエレクトーンのグレード試験は13~2級まであり、数字が小さくなるにつれてレベルが上がっていきます。それぞれのレベルに応じて、試験内容も異なります。
試験は、指定された課題曲の演奏に加え、音楽理論や即興演奏などの要素も含まれることがあり、グレードが上がるにつれて試験の内容は多岐にわたります。
6級までの試験内容
13~11級 | 初心者向けのグレードでテキストに沿って講師の方が行います。 |
10~6級 | 多くの方が受験しているグレードで、AコースとBコースの2つが設けられており、好きな方を選ぶことができます。 |
◆A コース:演奏中心に学習している人向け
試験科目: ①自由曲 ②課題曲 ③編曲演奏
①自由曲
ヤマハ発刊のグレード表記があり、受験するグレードと同程度の曲を2曲準備して演奏
②課題曲
グレード別に指定された曲集の中から1曲好きな曲を準備して演奏
③編曲演奏
10~9級
- 事前に8小節程度のコード ネーム付メロディーの課題から1曲選び、1~2コーラスに編曲演奏
- 調はハ長調
- 和音の種類はC・G7
8~7級
- 16小節程度のコードネーム付メロディーの課題から1曲選び、1 ~ 2 コーラス(7級は2コーラス)に編曲演奏する
- 調はハ長調・ヘ長調・ト長調
- 和音の種類は各調の Ⅰ, Ⅳ, Ⅱ²、Ⅴ₇、副属 7 の和音
6級
- 16~32小節程度のコードネーム付メロディーの課題から1曲選び、2コーラス以上に編曲演奏
- 調は#, b1 個までの長調、短調
- 和音は長3、短3、属7(副属7含)の和音
試験の流れ
試験管がいる部屋に入り、自由曲→課題曲→編曲演奏の順に行い、最後に試験管よりアドバイスなどの講評があり終了となります。
◆Bコース【音楽を総合的に学習している人】
試験科目: ①自由曲 ②初見演奏 ③伴奏付け・即興演奏
①自由曲
ヤマハ発刊のグレード表記があり、受験するグレードと同程度の曲を2曲準備して演奏
②初見演奏
30秒程度の予見(楽譜に目を通す)の時間が与えられ、その後演奏します。
- 10級:4小節程度の主としてメロディーとバス による2段楽譜
- 9~8級:8小節程度の2段楽譜
- 7~6級:12 ~16小節程度の3段楽譜
③伴奏付け・即興演奏
4小節程度の主とし てメロディーとバス による2段楽譜
10~8級の場合
課題の楽譜が渡されるので、試験官がメロディーを一度通して弾きます。弾いている間、和音を考えながら聴きます。その後、試験管が弾くメロディーに合わせて演奏します。
7~6級の場合
まずメロディーだけを自分で演奏します。その後、メロディーに伴奏をつけて演奏します。7~6級では、続けて曲全体を変奏します。
※20秒程度音出しの時間後、通して弾くこともできます
- 10~8級:8小節程度のメロディーに和音づけをし、続けてそれを伴奏の形で演奏する
- 7級:8小節程度のメロディーに伴奏づけをし、続けて曲全体を変奏する
- 6級:12 ~16小節程度のメロディーに伴奏づけをし、続けて曲全体を変奏する
④聴奏
10~8級
- メロディー
試験官が何調かを伝えた後、一度課題を通して弾きます。
メロディーをよく聴いておき、10・9 級は前半と後半に(8 級は2~4小節ずつ)区切ってメロディーの聴奏をします。
- ハーモニー
試験官が何調かを伝えた後、一度課題を通して弾きます。
ハーモニーをよく聴いた後、ハーモニーの聴奏をします。
7~6級
試験官が何調かを伝えた後、一度課題を通して弾きます。
曲全体(両手・ベースとも)をよく聴きます。その後、2~4小 節ずつ区切って曲全体(両手・ベースとも)を聴奏します。
- 10級:4小節程度のメロディー・4小節程度のカデンツ
- 9級:4小節程度のメロディー・4 ~6小節程度のカデンツ
- 8級:8小節程度のメロディー・4 ~6小節程度のカデンツ
- 7~6級:8小節程度の3段楽譜
試験の流れ
試験管がいる部屋に入り、自由曲→初見演奏→伴奏付け・即興演奏→聴奏演奏の順に行い、最後に試験管よりアドバイスなどの講評があり終了となります。
5~3級までの試験内容
5~3級はレベルが上がり、指導者を目指したり専門家を目指す人に向けた内容になっています。6級と5級ではかなりレベルの差があるので、ここから取得する難易度がかなり上がってきます。
試験内容:①即興演奏②初見演奏③楽曲演奏
①即興演奏
2種類あり、一つはメロディーが用意されていて、適切な伴奏とアレンジを行って1曲に仕上げるもの。もう一つは2~4小説くらいの短いモチーフを与えられ、自分でメロディー含めてアレンジを行い小さな作品に仕上げるものです。
②初見演奏
2ページ程の作品を30秒ほど予見をした後、演奏します。
③楽曲演奏
課題曲の中から1曲、自由曲の中から3~4曲、自作曲を1曲(3級のみ)用意して演奏します。
全曲弾くのではなく、1曲のみで試験管に良い悪い関係なく止められる可能性があります。
試験の流れ
最初に予見室にて即興演奏の楽譜を見ることができます。その後試験室に入り、即興演奏→初見演奏→楽曲演奏の順で行い試験管の方からアドバイスの講評をもらい終了となります。
合格するための基準
それぞれの科目で配点が決まっており、合計75点以上かつ各科目で得点が配点の 50%を満たしていれば合格することができます。
受験料
受験料の一覧はこちら。
13~11級 | 1,650円 |
10級 | 4,950円 |
9・8級 | 6,050円 |
7・6級 | 7,150円 |
5級 | 10,450円 |
4級 | 11,550円 |
3級 | 13,750円 |
2級 | 55,000円 |
ヤマハグレードのメリット
ヤマハエレクトーンのグレード試験を受けることで、さまざまなメリットがあります。
自分のレベルを試せる
試験を通して合格を経験することで、今の自分のレベルを試せたり達成感や自身につなげることができます。また、ヤマハグレード試験は発表会とはまた違う緊張感があります。その中で発揮できる実力を図ることができ、また、試験管の人からも客観的な講評をもらえるので今後のレベルアップの参考にすることができます。
目標を持つことによるモチベーションアップ
毎週レッスンを受けて、曲を演奏することも大切なことですが、それだけではモチベーションが下がる可能性があります。「このグレードを合格するぞ!」と目標を設定すると、毎日の練習がただの作業じゃなくなり、楽しみながら続けやすくなります。達成感を味わえるので、次の目標にも挑戦しやすくなります。
履歴書や資格として活用できる
ヤマハグレードは、音楽に関する資格として履歴書に記載できます。音楽の教育を受けていることや、一定の技術を持っていることを証明する材料として活用できるため、将来は音楽関係の業界への就職を考えていたり、ヤマハ講師を目指している人は特におすすめです。
このように、ヤマハエレクトーンのグレード試験は、単なる試験のための学習ではなく、演奏技術の向上と音楽性の深化を目指す有意義なステップです。各レベルをクリアすることで、自信を持って演奏を楽しめるようになるでしょう。
エレクトーンのグレード試験日程2025
試験日程と試験会場
- 10~6級
ヤマハ特約楽器店が主催しているため、試験の実施やお申込み方法等の詳細についてはヤマハ特約楽器店に問い合わせてみましょう。
- 5級以上
5級以上になると試験会場が全国でも限られているため、調整が必要になってきます。余裕をもってスケジュール調整を行いましょう。
日程
2025年1月
19日(日)5・4・3級札幌
19日(日)5・4級大阪(なんば)
28日(火)5・4・3級東京(目黒)
2025年2月
2日(日)5・4・3級東京(目黒)
11日(火・祝)5・4級高崎
11日(火・祝)5・4・3級名古屋(伏見)
16日(日)5・4・3級大阪(なんば)
26日(水)5・4級東京(目黒)
2025年3月
2日(日)5・4級東京(目黒)
2日(日)5・4級名古屋(金山)
9日(日)5・4級浜松
9日(日)5・4・3級大阪(なんば)
9日(日)5・4・3級福岡(博多)
17日(月)5・3級東京(目黒)
20日(木・祝)5・4級盛岡
20日(木・祝)5・4・3級名古屋(伏見)
13日(日)5・4級名古屋(ワンダーC)
13日(日)5・4級金沢
13日(日)5・4・3級大阪(なんば)
20日(日)5・4・3級東京(目黒)
20日(日)5・4級京都
23日(水)5・4級東京(目黒)
27日(日)5・4級仙台
29日(火・祝)5・4級広島
ヤマハグレード試験合格のコツ
小さいころからエレクトーングレードに挑戦し続けていた筆者が、合格するためにどのようなことをしたか。ポイントをご紹介します。
自由曲、課題曲
一番は「間違えない曲を選ぶこと」です。
事前に準備できるからといって背伸びをした曲を選んでしまうと、試験当日はかなり緊張するので、確実に間違えないくらいようにしっかりと練習をして、間違えないように弾けることが最も重要です。
即興演奏やモチーフ演奏
即興演奏やモチーフ演奏で大切なことは「事前にアレンジパターンを作っておくこと」です。
当日までどんなメロディーを弾くか分かりませんが、きれいなメロディーであればストリングス中心のきれいなアレンジパターンを考えて置いたり、少し明るいメロディーであれば、ジャズっぽくしたりポップにするなど、パターンを作っておきましょう。
また、モチーフが完成したら「とにかく練習問題をたくさん行う」
これも大事です。試験当日だと思って、1つ1つ問題を真剣に取り組んで、練習していきましょう。
初見演奏
初見演奏は最初に予見の時間があるので、その際に一番最初に拍子と調を確認して、#または♭何個なのかなど頭にいれておきましょう。
そして、いざ弾くことになれば「絶対に止まらない!」ことを徹底しましょう。
この絶対に止まらない。っていうのがとても難しく、止まってしまう気持ちは痛いほど分かりますが、止まってしまうとペースが崩れてしまい間違いも多くなるので、間違えても止まらずに最後まで弾くことを意識するようにしましょう。
そのために毎日多くなくてもいいので、数曲初見演奏の練習をすることが大事です。
まとめ
ヤマハエレクトーンのグレード試験は、演奏技術だけでなく表現力を高めるための大きなステップとなります。試験を通じて、自分の実力を確かめたり、目標を持って練習を続けるモチベーションを保つことができるので、達成感を味わいながら次のレベルへと進んでいきましょう。
No music No life!
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